売却を不動産会社に依頼するとき、最初に決めるのが「媒介契約をどれにするか」です。
選択肢は一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3つ。どれを選んでも仲介手数料の上限は変わらず、違うのは「何社に頼めるか」と「不動産会社が負う義務の重さ」です。
本記事では、3種類の法律上のルールと、状況別の選び方を、どれか1つを勧める形にならないよう並べて整理します。
一般媒介
複数社に
依頼できる
レインズ登録・報告は義務ではない
専任媒介
1社のみ
自己発見は可
7日以内に登録・2週に1回以上の報告
専属専任媒介
1社のみ
自己発見も不可
5日以内に登録・週1回以上の報告
📄 そもそも媒介契約とは
媒介契約は、「売却の相手方を探してください」と不動産会社に依頼する契約です。宅地建物取引業法第34条の2により、不動産会社は依頼を受けたら遅滞なく書面(または電磁的方法)を交付しなければならないと定められています。口約束のまま販売活動を始めることはできません。
この書面には、売り出し価格、依頼する業務の内容、有効期間、報酬額、違約時の取り扱いなどが記載されます。売主が最初に判断するのは、3種類のうちどの型で契約するかです。
💡 3種類のどれを選んでも、仲介手数料の上限は同じです(売買価格400万円超の場合、売買価格×3%+6万円+消費税が上限)。「一般媒介だから安くなる」「専任だから高くなる」ということはありません。
📋 3種類の違い(法律上のルール)
| 項目 | 一般媒介 | 専任媒介 | 専属専任媒介 |
|---|---|---|---|
| 依頼できる会社数 | 複数社に同時依頼できる | 1社のみ | 1社のみ |
| 自分で買主を見つけた場合 (自己発見取引) |
直接契約できる | 直接契約できる | できない(依頼した会社を通す) |
| レインズへの登録義務 | 義務なし(任意で登録可) | 契約日の翌日から7日以内 (休業日を除く) |
契約日の翌日から5日以内 (休業日を除く) |
| 販売状況の報告義務 | 法律上の義務なし (標準約款では任意の定め) |
2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
| 契約の有効期間 | 法律上の制限なし (標準約款では3か月以内) |
3か月以内 | 3か月以内 |
| 更新 | 依頼者の申出により更新 | 自動更新は不可。依頼者の申出により更新 | 自動更新は不可。依頼者の申出により更新 |
✅ 表を一言でまとめると、一般媒介は売主の自由度が高く、専属専任媒介は不動産会社の義務が重いという関係です。専任媒介はその中間に位置します。どれが優れているという順位はなく、物件と売主の事情によって適した型が変わります。
🔵 一般媒介の長所と留意点
向いている場面
- 人気エリアの築浅マンションなど、放っておいても問い合わせが入りやすい物件
- 複数社の動き方を比べながら進めたい場合
- すでに購入を検討している知人がいて、並行して広く探したい場合
留意しておきたい点
- レインズ登録と報告が義務ではないため、販売状況が見えにくくなることがある(依頼時に「登録して証明書をください」と伝えれば対応してもらえます)
- 各社にとっては他社で成約すると報酬が発生しないため、広告費のかかる施策が後回しになることがある
- 問い合わせ・内見の日程調整を、売主が複数社と個別に行う必要がある
- 同じ物件が各社から重複して広告されると、買主側に「売れ残り」の印象を与える場合がある
なお一般媒介には、他にどの会社へ依頼しているかを通知する明示型と、通知しない非明示型があります。契約書のどちらに丸が付いているかを確認しておくと、後のトラブルを避けられます。
🔷 専任媒介の長所と留意点
向いている場面
- 買主を探すのに説明や資料づくりの手間がかかる物件(再建築不可、狭小地、借地、共有、相続で取得した空き家など)
- 窓口を1社にまとめて、やり取りの手間を減らしたい場合
- 親族や知人に売る可能性を残しつつ、広く募集もしたい場合
留意しておきたい点
- 依頼先が1社に絞られるため、会社選びの重要度が上がる
- 期間中に他社へ乗り換えることはできない(有効期間は3か月以内なので、満了時に見直せます)
- 自分で買主を見つけて直接契約した場合でも、それまでにかかった費用を請求されることがある(契約書の定めを確認)
🟣 専属専任媒介の長所と留意点
向いている場面
- 自分で買主を探す予定がなく、すべて任せて毎週の報告を受けたい場合
- 遠方に住んでいて現地対応ができない場合
- 売却の期限が決まっていて、進捗を細かく把握したい場合
留意しておきたい点
- 自己発見取引ができません。親族や知人が買主になる場合も、依頼した会社を通すことになり仲介手数料が発生します
- 「近所の人が買いたいと言うかもしれない」という心当たりがあるなら、専任媒介のほうが無理がありません
- 報告頻度が高い分、内容が形式的になっていないか(反響件数・内見数・買主の声が書かれているか)を見ておくとよいでしょう
🧭 状況別・選び方の目安
絶対的な正解はありませんが、実務では次のような整理で考えることが多いです。あくまで目安としてご覧ください。
| 売主の状況 | 検討しやすい型 | 理由 |
|---|---|---|
| 駅近・築浅で需要が読みやすい | 一般 / 専任 | 条件が整っていれば、広く出すだけでも反響が集まりやすい |
| 再建築不可・狭小・借地など説明が要る | 専任 / 専属専任 | 調査と資料づくりに時間がかかり、腰を据えた活動が必要になりやすい |
| 相続した空き家を遠方から売る | 専任 / 専属専任 | 現地対応・鍵の預かり・残置物の相談を1社にまとめられる |
| 親族や隣地の方が買う可能性がある | 一般 / 専任 | 自己発見取引ができる型でないと、直接の売買ができない |
| 売却を急がず、価格重視で様子を見たい | 一般 / 専任 | 複数の見方を比べながら、時間をかけて判断できる |
| 住み替えで引渡し時期が決まっている | 専任 / 専属専任 | 報告義務があり、進捗と残り期間を把握しながら判断できる |
📌 迷ったときは、「自分で買主を見つける可能性があるか」と「やり取りの窓口を1社にしたいか」の2点から考えると整理しやすくなります。この2つが決まれば、3種類のうち候補は自然に絞られます。
⚠️ 「囲い込み」と、売主ができる確認
専任媒介・専属専任媒介では、依頼を受けた会社がレインズに登録し、他社からの問い合わせにも対応することが前提です。ところが、自社で買主を見つけて売主・買主の双方から手数料を受け取ろうとして、他社からの物件確認や内見の申し込みを正当な理由なく断る行為があり、これは「囲い込み」と呼ばれています。
この点について、2025年1月1日から宅地建物取引業法施行規則等の改正が施行され、レインズの物件ステータス(「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」)を正確に登録することが求められ、囲い込みは監督処分の対象として明確化されました。
売主が自分で確認できること
- レインズの登録証明書を受け取る:専任・専属専任では登録後に交付されます。届いていなければ請求してください
- 売主専用画面にログインして確認する:証明書に記載のID・パスワードで、自分の物件の登録内容とステータスを直接確認できます
- 定期報告の中身を見る:反響件数・内見件数・買主側の反応が具体的に書かれているかを確認します
- ステータスが実態と合っているか照合する:申し込みが入っていないのに「一時紹介停止中」になっていないかを見ます
一般媒介は登録自体が義務ではないため、この確認の仕組みが働きません。販売状況を自分の目で確かめたい場合は、レインズ登録を依頼するか、登録義務のある型を選ぶという考え方もあります。
✅ 契約前に確認したい5つのこと
- 販売活動の中身が具体的か:どのポータルサイトに掲載するか、写真・図面は誰が用意するか、オープンハウスや折込の予定はあるか
- 報告の方法と頻度:文書かメールか、何を書いてもらえるのか。一般媒介の場合は報告の有無を契約時に決めておく
- 有効期間と、満了後の進め方:3か月で見直す前提か、更新の手続きはどうするか
- 途中で解除する場合の費用:それまでにかかった実費(広告費・出張費など)の請求条件が書かれているか
- 買取保証や買取の提案がある場合の条件:買取価格・実行の時期・条件を、仲介での売却と分けて説明を受ける
⚠️ 税金・法律の判断は専門家にご相談を
譲渡所得税や相続税の扱い、遺産分割の進め方、共有物件で誰が契約当事者になるかといった点は、個別の状況により大きく異なります。本記事は2026年8月時点の一般的な情報であり、実際の手続きは税理士・司法書士・弁護士等の専門家とご相談のうえ進めてください。当社は提携士業と連携してサポートします。
❓ よくあるご質問
Q. 一般媒介で多くの会社に頼めば、それだけ早く売れますか?
A. 依頼先の数と成約の早さは、必ずしも比例しません。買主が物件を目にする経路(レインズ・ポータルサイト)は各社で重なるためです。一方で、複数社の提案を比較できる利点はあります。物件の性質によって結果が変わるため、事前に「この物件はどの経路から買主が来そうか」を確認してから決めると判断しやすくなります。
Q. 途中で契約の種類を変えられますか?
A. 有効期間の満了時に、更新せず別の型・別の会社に切り替えることができます。専任・専属専任は3か月以内と定められており、自動更新はされません。期間中の解除は契約書の定めによるため、条項を確認してください。
Q. 専任媒介にすると、他社の買主には売れないのですか?
A. そのようなことはありません。専任・専属専任ではレインズへの登録が義務づけられており、他社が買主を連れてくる形での成約も通常どおり行われます。「1社に依頼する」ことと「1社の顧客にしか売らない」ことは別です。
Q. 手数料を値引きしてもらえるなら、そちらを選ぶべきですか?
A. 手数料は判断材料の1つですが、売却の結果を左右するのは成約価格と期間です。広告や調査にかける費用の見込みもあわせて聞いたうえで、総額で比べることをおすすめします。
🏢 アライアンス株式会社の考え方
- 3種類すべてお受けします:一般媒介でのご依頼も承ります。型を決める前のご相談だけでも構いません
- 選ぶ前に、根拠をご説明します:その物件でどの経路から買主が来そうか、どの型なら手が届くかを、成約事例とあわせてお伝えします
- 専任・専属専任ではレインズ登録証明書をお渡しします:売主専用画面のご確認方法もあわせてご案内します
- 報告は数字で行います:掲載反響数・内見数・買主側の反応を記載した販売活動報告書をお出しします
- 条件のある物件のご相談を多く扱っています:再建築不可、狭小地、共有持分、借地、相続で取得した空き家など
- 初回相談は無料/秘密厳守/Zoom可
📞 契約の型を決める前に、一度ご相談ください
媒介契約は、売却の進み方を左右する最初の分かれ道です。東京・神奈川(相模原市・橋本エリア周辺)を中心に、地方の物件についてもご相談を承っています。「まだ売ると決めていない」段階のお問い合わせで構いません。
✅ 売却・媒介契約のご相談
- どの型が合うかのご相談だけでも承ります
- 他社と比較検討中の段階でも構いません
- 24時間以内に初回返信
📞 お電話:042-703-5901(平日9:30〜18:30)
📧 メール:info@alliance-real.com
アライアンス株式会社/神奈川県相模原市緑区西橋本3丁目7番8-1号
宅地建物取引業免許 神奈川県知事(1) 第32797号