売却のご相談をいただくと、早い段階でこのご質問になります。「買取と仲介、どちらがいいのでしょうか」
結論から申し上げると、どちらが優れているという話ではなく、何を優先されるかで答えが変わります。金額を優先されるなら仲介、期日と確実性を優先されるなら買取、というのが大づかみの目安です。
本記事では、価格差がなぜ生まれるのか、費用を差し引いた手取りで比べるとどうなるのか、そして買取が向く場面・向かない場面を、同じ粒度で整理します。金額はすべて目安であり、実際の条件により変わります。
価格の目安
買取は仲介相場の
7〜8割程度
物件により幅があります
期間の目安
買取 数週間
仲介 3〜6か月
仲介はご縁次第で前後します
判断の軸
価格ではなく
手取りと期日
両方を並べて比べます
🔍 そもそも何が違うのか — 「買主が誰か」だけの違いです
言葉は似ていますが、仕組みはまったく別のものです。違いは一点、最終的にその不動産を買う人が誰かに尽きます。
仲介 — 不動産会社が売主と買主のあいだに立つ方法です。会社は買主を探して広告を出し、ご案内をし、条件をまとめます。買主は多くの場合、そこに住みたい個人の方です。会社は成約したときに仲介手数料を受け取ります。
買取 — 不動産会社が自分で買主になる方法です。会社は自社の資金で購入し、その後リフォームや再区画などを行って、あらためて販売します。売主から見れば、目の前の会社と直接売買契約を結ぶことになります。仲介手数料は原則かかりません。
この一点の違いから、価格・期間・手続き・責任範囲のすべてが枝分かれしていきます。順に見ていきます。
📊 一覧で比べる
| 比べる点 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場相場に近い金額を狙えます | 仲介相場の7〜8割程度が一般的な目安(物件により幅があります) |
| 売却までの期間 | 3〜6か月が目安。買主が現れるまで読めません | 数週間。金額に合意できれば日程を先に決められます |
| 仲介手数料 | かかります(上限は(価格×3%+6万円)×1.1) | その会社が直接の買主なら原則かかりません |
| 広告・内見 | ポータルサイト掲載やチラシ、室内のご案内があります | 広告はしません。内見も会社の担当者のみです |
| 売却の確実性 | 売れ残る可能性があります。値下げの検討が必要になることも | 契約すれば決済日はほぼ確定します |
| 契約不適合責任 | 個人の買主に対しては一定期間負うのが通常です | 免責の条件で契約できる場合が多くあります |
| 測量・解体・片付け | 買主のご要望により売主負担で行うことがあります | 現況のままで引き渡せる場合が多くあります |
| 周囲に知られるか | 広告を出すため、知られる可能性があります | 広告しないため、知られにくくなります |
※ 表の数値・割合はいずれも一般的な目安です。物件の種類、立地、状態、時期により変わります。
💰 価格差は何の対価なのか
「買取は7〜8割」と聞くと、その差額を会社が丸ごと利益にしていると受け取られることがあります。実際には、その差は会社が引き受けるコストとリスクの見積りです。内訳はおおむね次のようなものです。
- 再販までの保有コスト — 買い取ってから次の買主が決まるまで、固定資産税・管理費・借入の金利がかかります
- リフォーム・解体・残置物処分の費用 — 現況のまま引き取る分、その費用は会社側の負担になります
- 売れ残るリスク — 想定した価格で再販できない可能性を、あらかじめ差し引いて価格を出します
- 契約不適合責任を免責で引き受けるリスク — 引渡し後に不具合が判明しても、売主に請求しない前提で買い取ります
- 再販時の販売経費 — 広告費、次の売買での仲介手数料などです
言い換えると、売主が本来かけるはずだった手間・費用・時間・不確実性を、会社がまとめて引き受ける対価が価格差です。ですから、もともと手を入れる必要がない物件、立地がよく短期で売れる物件ほど価格差は縮まり、逆に築古・遠方・権利関係が複雑な物件ほど差は開きます。
⚠️ 買取の留意点(必ずご確認ください)
価格は仲介より下がります。これは仕組み上そうなるもので、交渉で相場並みになるものではありません。また会社によって査定額の幅が大きく出ます。再販の想定が会社ごとに違うためで、同じ物件で数百万円変わることも珍しくありません。1社だけの金額を「買取の相場」と受け取らないでください。金額に納得できないまま急いで決める必要はありません。
🧮 手取りで比べる — 価格だけでは判断できません
仲介では売却価格から差し引かれるものがあり、買取ではかからない費目があります。比べるべきは価格ではなく手取りです。同じ物件で、仲介なら2,500万円、買取なら2,000万円という査定が出た場合の試算を並べます。
| 項目 | 仲介の場合 | 買取の場合 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 25,000,000円 | 20,000,000円 |
| 仲介手数料 | ▲891,000円 | 0円 |
| 印紙税(軽減措置適用時) | ▲10,000円 | ▲10,000円 |
| 抵当権抹消・住所変更登記 | ▲20,000円 | ▲20,000円 |
| 確定測量(買主のご要望による) | ▲500,000円 | 0円(現況のまま) |
| 残置物処分・ハウスクリーニング | ▲200,000円 | 0円(残置のまま可の場合) |
| 手取りの目安 | 約23,379,000円 | 約19,970,000円 |
| 引渡しまでの期間 | 3〜6か月 | 2〜4週間 |
この例では、費用を引いたあとでも仲介のほうが約340万円多く残ります。差は縮まりますが、逆転はしていません。手取りだけを見るなら仲介です。
では買取を選ぶ理由がないのかというと、そうではありません。この表には現れていないものが二つあります。①仲介の2,500万円は「売れたら」の金額であって、確定した金額ではないこと。②3〜6か月のあいだ、固定資産税・管理費・光熱費・ローンの支払いが続き、その間ご自身の時間も使うことです。売却の期日が決まっている方、二重の負担が続くのが苦しい方にとっては、この二つが金額差より重くなります。
判断のしかた — 「約340万円」と「確実性+4か月の時間」を天秤にかける、という形に持ち込むのが正解です。どちらが正しいかは、お客様のご事情でしか決まりません。当社が申し上げられるのは、その天秤に載せる二つの数字を、正確にお出しすることまでです。
🏠 買取が向く場面 / 仲介が向く場面
買取が向く場面
- 売却の期日が決まっている — 住み替えの決済日、離婚のお手続き、転勤、納税の期限
- 相続した遠方の不動産 — 現地に何度も足を運べない
- 再建築不可・接道が弱い・調整区域 — 一般の買主にはローンが付きにくい
- 築古で手を入れないと売りにくい — 修繕にかける資金を出したくない
- 残置物が多い、片付けが進まない
- 近隣に知られたくない — 広告を出さずに進められます
- 共有持分・借地権など権利が複雑
仲介が向く場面
- 売り急ぐ事情がない — 半年程度待てる
- できるだけ高く売りたい — 金額が最優先
- 駅から近い、築浅、人気エリア — 買主が付きやすい
- そのまま住める状態 — 大きな修繕が要らない
- 権利関係が整理されている — 単独所有・境界が明確
- ローンの残債が買取価格を上回る — 仲介でないと返済しきれない場合があります
🔀 「どちらか」ではない選び方 — 買取保証付き仲介
二択で悩まれる場合、中間の方法があります。買取保証付き仲介です。
まず一定期間(3か月程度が一般的)仲介で市場に出し、その間に買主が見つかれば市場価格で成約します。期間内に決まらなかった場合は、あらかじめ約束した金額で不動産会社が買い取ります。「高く売れる可能性は残したい、でも売れ残るのは困る」という場合に合う方法です。
ご確認いただきたい点 — 保証される買取価格は、はじめから買取を選ぶ場合と同水準か、やや低めに設定されることがあります。また保証の発動条件(期間、価格改定に応じる義務の有無など)は契約書で必ずご確認ください。すべての物件でお引き受けできる方法ではありません。
✅ 買取査定を取るときの5つの注意
- 1社目で決めない — 買取価格は会社ごとの再販想定で決まります。複数社に出すだけで結果が変わることがあります
- 仲介の査定も同時に取る — 比べる基準がないと、提示された買取価格が妥当か判断できません
- 金額だけでなく条件を並べる — 決済日、契約不適合責任の免責、残置物の扱い、融資特約の有無。金額が高くても条件が厳しいことがあります
- 「今日中なら」という進め方には応じない — 判断を急がせる理由が売主側にあることは、まずありません
- 手取りの内訳を書面でもらう — 口頭の金額ではなく、諸費用を引いた後にいくら残るかを紙で確認してください
🤝 当社の考え方
アライアンス株式会社は、仲介と自社買取の両方を行っています。両方を扱っているからこそ、どちらかに誘導することはいたしません。ご相談をいただいたら、仲介で売った場合の想定価格と手取り、当社が買い取る場合の価格と手取り、それぞれの引渡し時期を1枚に並べてお出しします。そのうえでお客様にお選びいただく、という進め方です。
仲介のほうが有利だと判断した場合は、そのように申し上げます。逆に、期日や物件の性質から買取のほうが現実的だと考えた場合も、価格が下がる理由をご説明したうえでお出しします。比べられる状態にしてお渡しすることが、私どもの仕事だと考えています。
📌 専門家にご相談いただきたいこと
譲渡所得税の計算、特例の適用可否、確定申告のお手続きといった税務のご相談は税理士が担当します。相続登記や名義の整理といった登記のご相談は司法書士、遺産分割や共有者間の争いに関わるご相談は弁護士、境界確定や測量は土地家屋調査士にお願いいたします。当社は不動産会社として、価格と手取りの試算、買取・仲介の比較、必要な調査の段取り、専門家のご紹介と契約書への反映を担当いたします。
まとめ
- 違いは「買主が誰か」の一点。仲介は個人の買主を探す方法、買取は不動産会社が自分で買う方法です
- 買取価格は仲介相場の7〜8割程度が一般的な目安。この差は、保有コスト・修繕費・売れ残りリスク・責任免責を会社が引き受ける対価です
- 比べるのは価格ではなく手取りと引渡し時期。ただし費用を引いても、多くの場合は仲介のほうが手元に残ります
- それでも買取を選ぶ理由は「確実性」と「時間」。仲介の金額は売れたらの金額であり、確定額ではありません
- 買取が向くのは期日が決まっている / 遠方 / 再建築不可 / 築古 / 残置物 / 知られたくない場面です
- 買取価格は会社ごとに幅が出ます。1社の金額を相場と受け取らないでください
- 迷われる場合は買取保証付き仲介という中間の方法もあります(条件の確認は必須です)
- 査定を取るときは複数社・仲介と買取の両方・条件込み・書面で。急がされる進め方には応じないでください
仲介と買取、両方の金額を並べてお出しします
アライアンス株式会社では、東京・神奈川を中心に不動産の売却をお手伝いしています。仲介と自社買取の両方を扱っておりますので、「仲介で売った場合の想定価格と手取り」「当社が買い取る場合の価格と手取り」「それぞれの引渡し時期」を1枚にまとめてお渡しします。どちらかをお勧めするためではなく、比べてお決めいただくためのものです。まだ売ると決めていない、という段階からで構いません。無料でご相談いただけます。
📞 042-703-5901
✉️ info@alliance-real.com
🏢 アライアンス株式会社(〒252-0131 神奈川県相模原市緑区西橋本3丁目7番8-1号)
🏛 宅地建物取引業免許 神奈川県知事(1)第32797号