ご両親から相続した家に誰も住まず、そのままになっている——相模原近郊のご相談でも、こうしたお話をよくお伺いします。
この「相続した空き家」を売却するときに使えるのが「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(いわゆる空き家の3,000万円特別控除)です。
期限と要件がやや細かい制度ですので、本記事では誰が使えるのか・いつまでに何をすればよいのか・見落としやすい落とし穴を整理してご説明します。
控除額
最高3,000万円
相続人が3人以上の場合は2,000万円
制度の期限
令和9年
(2027年)12月末
この日までの譲渡が対象です
個別の期限
相続開始から
3年目の年末
ここまでに売却を終える必要があります
🏠 どんな制度か — 空き家を手放しやすくするための特例
この特例は、正式には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」といいます。相続で取得した実家(空き家)を売却して利益が出た場合、譲渡所得から最高3,000万円を差し引けるという制度です。空き家のまま放置される住宅を減らすことを目的に設けられており、2016年(平成28年)にできた比較的新しい制度です。
ご自身がお住まいだった家を売る場合にも「居住用財産の3,000万円特別控除」という似た名前の制度がありますが、こちらは亡くなった方が一人で住んでいた家を、相続人が引き継いで空き家のまま(または取り壊して土地として)売る場合に適用される、別の制度です。名前が似ているため混同されやすい点にご注意ください。
✅ 主な適用要件
要件は複数ありますが、実務でとくに確認が必要なのは次の6点です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 建てられた時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(いわゆる旧耐震基準の建物)。マンション等の区分所有建物は対象外です |
| 居住の状況 | 相続開始の直前、被相続人お一人だけが住んでいたこと(一定の要介護状態での老人ホーム入所等は例外扱いがあります) |
| 相続後の使い道 | 相続してから売却するまでの間、賃貸に出したり、事業や誰かの居住のために使ったりしていないこと(空き家のままであること) |
| 耐震性 | 建物を残したまま売る場合は耐震基準を満たしていること(満たしていなければ耐震リフォームが必要)。または、建物を取り壊して更地で売ること |
| 売却価格 | 譲渡の対価の額が1億円以下であること |
| 売却の期限 | 相続開始日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却すること |
⚠️ 相続人が3人以上いる場合は控除額が変わります。令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡では、この特例を使う相続人の数が3人以上のとき、控除額は1人あたり最高2,000万円になります(2人以下なら1人あたり最高3,000万円)。相続人が複数いる案件では、誰がいくら控除を受けられるかを事前に試算しておくことが大切です。
🔨 「耐震基準を満たす」方法は2つ
旧耐震の建物をそのまま売る場合、買主様が住宅として使うことを前提に、耐震基準を満たしている必要があります。実務上の選択肢は次の2つです。
① 耐震リフォームしてから売る
耐震診断・耐震改修工事を行い、基準を満たしたうえで建物付きのまま売却します。工事費用がかかりますが、建物としての価値を残せます。
② 取り壊してから売る
建物を解体し、更地として売却します。解体費用はかかりますが、耐震リフォームより実務的には進めやすく、選ばれることが多い方法です。
💡 令和5年度の税制改正により、令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡からは、建物付きのまま先に売却し、譲渡した年の翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行う場合も対象に加わりました。買主様が取り壊しを前提に購入し、引渡し後に解体するケースなどが想定されており、選択の幅が広がっています。
⏱ 期限は「制度の期限」と「個別の期限」の2つ
この特例でつまずきやすいのが、期限が2種類あるという点です。どちらも満たす必要があります。
- ①制度そのものの期限:令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象です(平成28年4月1日から適用開始)
- ②個々の相続ごとの期限:相続の開始があった日から3年を経過する日が属する年の12月31日までに売却する必要があります。たとえば2025年6月にご相続があった場合、2028年12月31日までに売却しなければなりません
「まだ制度の期限まで時間があるから」と思っていても、個々のご相続からは3年しか猶予がありません。相続登記(2024年4月からは義務化されています)や遺産分割協議に時間がかかると、あっという間に期限が迫ります。当社では、ご相談をお受けした時点でこの2つの期限を並べてカレンダーに落とし込み、いつまでに何を終える必要があるかをお示ししています。
🚩 見落としやすい注意点
- 相続後に誰かが住んだり貸したりすると対象外になります。「片付けが終わるまで」と親族が一時的に寝泊まりした場合でも、扱いが問題になることがあります
- 他の特例と重複して使えない場合があります。相続税の取得費加算の特例など、選択によって有利不利が変わる制度が他にもあります
- 確定申告が必要です。特例を使うには、譲渡した年の翌年に確定申告を行い、被相続人居住用家屋等確認書などの必要書類を添付します。市区町村役場での確認書の発行に日数がかかることがあります
- 店舗併用住宅や、被相続人以外も同居していた家屋は対象外になるなど、細かい除外要件があります
⚠️ 税金の最終判断は税理士にご確認ください
本記事は2026年9月時点の制度に基づく一般的な解説です。適用要件・控除額・期限は税制改正により変更されることがあり、実際に適用できるかどうかはご相続の事情によって個別に判断が必要です。当社は不動産会社として物件の調査・売却のお手伝いを行い、税額の計算と特例の有利判定は提携する税理士と連携してご案内します。最終的な申告内容は必ず税理士にご確認のうえ進めてください。
🤝 アライアンス株式会社の考え方
当社は相模原市を中心に、東京・神奈川エリアで空き家・再建築不可物件・相続案件など、時間と手間のかかる不動産に数多く向き合ってきました。相続した空き家のご相談では、「いくらで売れるか」だけでなく、「いつまでに、何を済ませておく必要があるか」という期限の管理そのものがご相談者様の負担になっていると感じています。
当社では、相続登記の要否・特例の適用期限・耐震基準の確認・登記事項証明書や公図の取得といった調べる作業や期限の管理を、Notion と Claude AI を組み合わせた業務管理の仕組みで効率化しています。書類の抜け漏れや期限の見落としをできる限り減らし、その分、ご相談者様やご家族と直接お話しし、状況をお伺いする時間に代表の小山が向き合えるようにする——これが当社の考える「AIと人の役割分担」です。難しい判断や、ご家族の想いが絡むお話は、これからも人が向き合ってお伺いします。
「人を雇わずにAIで効率化しながら、人にしかできない対話の時間を増やす」ことを、当社自身の経営でも実践しています。相続した空き家のご相談も、この考え方に基づいて対応しています。
❓ よくあるご質問
Q. まだ遺産分割協議が終わっていませんが、相談できますか?
A. 承っております。期限が絡む制度ですので、分割協議の見通しが立っていない段階でも、今からできる調査(登記・現況確認等)を先に進めておくことをお勧めしています。
Q. 建物が古く、そのままでは危険な状態です。それでも対象になりますか?
A. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であれば、取り壊して更地として売却する方法で対象になり得ます。現況を拝見したうえで、耐震リフォームと解体のどちらが現実的かをご提案します。
Q. 相続人が複数いて、意見がまとまっていません。
A. 控除額は相続人の数によって変わりますので、まずは概算の試算をお出しし、それぞれのご事情に合わせてご説明する材料としてお使いいただくことができます。ご家族間の合意形成そのものへの介入はいたしませんが、判断材料はできる限り整えます。
まとめ
- 相続した空き家(昭和56年5月31日以前建築・旧耐震)の売却では、最高3,000万円(相続人3人以上は2,000万円)の特別控除が使える場合があります
- 建物を残す場合は耐震基準を満たすこと、または取り壊してから売ることが必要です
- 期限は制度自体の期限(令和9年12月31日まで)と相続開始から3年目の年末までの2つがあります
- 相続後に賃貸や居住に使うと対象外になるなど、細かい除外要件があります
- 最終的な適用可否・控除額の計算は税理士のご確認が必須です
相続した空き家、期限が迫る前にご相談ください
アライアンス株式会社では、東京・神奈川(相模原近郊)を中心に、相続した空き家・再建築不可物件・共有名義の不動産など、難しい案件のご相談を数多くお受けしています。特例の適用可否は税理士と連携してご案内し、期限の管理から売却まで伴走します。まだ売ると決めていない段階でのご相談でも構いません。査定は無料です。
📞 042-703-5901(平日9:30〜18:30)
✉️ info@alliance-real.com
🏢 アライアンス株式会社(〒252-0131 神奈川県相模原市緑区西橋本3丁目7番8-1号)
🏛 宅地建物取引業免許 神奈川県知事(1)第32797号